12月の角質水分保持力はなぜ低下するの?

12月の角質水分保持力はなぜ低下するの?

天然保湿因子(NMF)のメカニズム

12月に入ると、多くの人が「いつものスキンケアをしているのに、「肌が急に乾く」「クリームを塗ってもすぐ突っ張る」と感じ始めます。

実はこれは“気温の低下”や“乾燥”といった一般的な理由だけでは説明しきれません。
本当に大きな原因は、角質内部の“水分を抱え込む機能”そのものが低下するからです。
その中心的役割を果たすのが、天然保湿因子(NMF:Natural Moisturizing Factor)です。


NMFとは?

「水分を肌に入れる」のではなく、「水分を肌に“つなぎ止める”仕組み」

NMFは、角質細胞の内部に存在するアミノ酸などの保湿成分の総称です。
代表的には…

・アミノ酸(セリン、アラニン、グリシン など)
・PCA(ピロリドンカルボン酸)
・乳酸
・尿素

これらはスポンジのように水分を抱え込む性質を持ち、**「内部を湿度50%にキープしてくれる仕組み」**と理解するとイメージしやすいでしょう。


なぜ“12月”に低下するの?

ポイントは「湿度」と「ターンオーバーの速度」

1)湿度(相対湿度)が50%→20%台に低下

12月の屋外湿度は20%台まで落ち込み、室内も暖房でさらに低下します。
ここで重要なのは、湿度が下がると、NMFが水分を保持しにくくなるという事実。
外気が乾燥しているほど、NMFが抱え込んでいる水分が外に“引っ張り出される”のです。

2)ターンオーバーが「遅すぎる or 速すぎる」現象

12月は気温低下により血行が悪くなり、ターンオーバー周期が乱れます。

・低温で代謝が落ちる → NMFを含んだ“成熟角質”が作られにくい
・逆に乾燥刺激で角質剥離が増える → NMFの保有量が減る

結果として、肌の内部が「中身スカスカの角質細胞が増える」状態になります。


実は

“クリーム”だけでは防げない

理由:クリームは「水分を入れず、外から蓋をする」だけ

乾燥対策として多くの人がクリームを増やしますが、これはあくまで「蒸発を防ぐための蓋(=オクルーシブ効果)」です。
「蓋をしても中身が入っていなければ意味がない」というのが12月の乾燥対策最大の盲点です。


どうすればNMFを回復できるの?

1)アミノ酸系保湿成分を与える

NMFの“材料”を補うことが最重要。

・PCA-Na
・アミノ酸(セリン、アラニン、グリシン、アルギニン)
・乳酸Na

これらが入っている化粧水や美容液は、単なるヒアルロン酸よりも冬に効果が出やすいのが特徴です。

あまり知られていないポイント▼
ヒアルロン酸は「水を抱え込む」のが得意。
NMFは「水を留めておく」のが得意。
冬は“留める力”が必要。

2)弱アルカリ水で「角質クリア」×「刺激ゼロ」

古い角質が残ると、NMFを持つ“新しい角質層”が表面に上がってきません。
弱アルカリ性のクレンジングやピーリングは、剥がすのではなく“離す”作用なので、冬に向いています。

3)入浴温度を38〜40℃

体温が上がるだけでターンオーバーが改善し、NMFを含む成熟角質の生成量が増加します。
これもあまり知られていない“12月乾燥の根本対策”です。


12月のスキンケアで

やってはいけないこと

・強いスクラブ
・アルコール濃度の高い化粧水
・熱いシャワーで顔を洗う
・1日に何度も洗顔する
・角質ケアを“週1回の強いピーリングだけ”にする

冬は「少しずつ、毎日、やさしく角質更新」が正解です。


まとめ

12月に角質水分が急落する最大の理由は、

・外部湿度の低下
・ターンオーバー乱れ
・成熟角質の不足
・NMF量の低下

という「構造的な保湿能力の低下」です。
クリームだけでは補えないため、NMFベースの保湿が鍵になります。

この冬は「水分を補う」だけでなく、
“水分を留める力を育てるスキンケア”を意識してみてください。
肌の乾燥サイクルが劇的に変わります。

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