【実用化が進む】AIが変えるOEM処方開発の最前線

【実用化が進む】AIが変えるOEM処方開発の最前線

近年、化粧品や健康食品のOEM開発において、生成AIや機械学習の活用が急速に進んでいます。
処方設計は、長年経験と勘に頼る部分も多い分野でしたが、AIの登場により、開発のスピード・精度・再現性が大きく変わろうとしています。

今回は、すでに実用段階に入っている「AIによる処方開発支援」について、業界の最新動向を紹介します。


AIができるのは「処方そのものの設計補助」

AIが完全に処方を“開発する”わけではなく、研究員の補助として以下のような役割を担います:

・市場データや顧客属性から最適な処方の方向性を予測
・成分の安全性や相互作用を過去のデータベースと照合
・有効成分の推奨濃度や相性の良い補完成分を提案

このようにAIは、従来なら人間が数日かけて行っていた情報収集や比較分析を、数分でこなすサポートツールとして機能しています。


実際に活用が進んでいる企業やシステム

すでに欧米やアジアの大手化粧品メーカー、原料サプライヤー、OEM企業では、以下のようなシステムが導入されています。

L’Oréal「Modiface」「Perso」:肌診断から処方提案までAIでサポート
DSM「MixFIT」:顧客の生活習慣データからパーソナライズ成分を推奨
BASF「Emollient Maestro」:感触と処方安定性をAIで組み合わせ自動提案
日本国内OEMでも、一部企業が成分組み合わせデータベースとAIによる組成提案システムを導入し始めています。

これらはすでに商用利用中であり、開発現場での導入も進んでいます。


メリットは「スピードと一貫性」

AIによる処方支援の最大の利点は、開発スピードの向上人によるバラつきの抑制です。

・複数の処方案を同時に瞬時に比較できる
・原料変更時にも、互換性の高い代替原料をAIが提案
・新人開発者でも、一定レベルのベース処方を即時生成可能

これにより、開発工数の削減(30〜50%)や、サンプル完成までのリードタイム短縮が実現しています。


AI導入で「人間の役割」はどう変わる?

AIがいくら進化しても、最終判断・クリエイティブな発想・感覚評価は人間にしかできません。

・肌へのなじみ方や感触
・ブランドらしさを反映した香りや色味
・ユーザーの感情を動かすストーリー性

これらは、AIを活かす人材の感性や経験に委ねられています。
つまり、AIによる処方支援はあくまで人間の能力を引き出す補助輪であり、現場の価値を下げるものではありません。


5. まとめ:AIは“開発の第二の頭脳”になる

AIによる処方開発支援は、すでに実用フェーズに入っています。
OEM企業にとって、今後この技術をどう取り入れていくかは、競争力の鍵になります。

情報の収集と組み合わせはAIに任せる
最終判断と「ブランドの想い」は人間が担う

そんな“協業型の開発スタイル”が、今後のスタンダードになっていくでしょう。

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